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一番好きな季節 秋

今年の夏は猛暑で気温は高かったのに、カラッとした晴れの日はほとんどなく湿度の高いジメジメした不快な日が多かった。

それだけに秋の訪れが待ちどおしかった。

九月に入って間もなくまだ処暑のうちだった。朝起きてガラス戸を開けると久しぶりの晴天でコバルトブルーの空に真っ白な小さな雲が浮かんでいる。

見上げるわたしの頬を少しだけひんやりとした風がやさしく通り過ぎた。その風の感触に思わず「秋が来た!」と言って一人で万歳をした。

秋には沢山の思い出がある。

わたし達夫婦は70歳の時長男が関東から呼び寄せてくれ青森県弘前市に移り住んだ。

弘前市から見る岩木山は津軽富士とも言われ,標高1625mの雄姿は、秀麗さと荒々しさが入り混じり、山容は神々しい感じさえした。

9月の彼岸が近くなると山肌が赤や黄色に色付き始め、やがて錦絵のごとく美しい紅葉が山裾に降りてくる。

また市街地を少し入ると赤くたわわに実ったリンゴ畑が一面に岩木山まで続き正に絶景である

主人とわたしは好天気の日を選んで、鮭のおむすびとたけのこの煮物 (春取れたねまがり竹を瓶詰めにして保存してあるものをつかう) ゆで卵、つけものなどで手早くお弁当を作り美しい紅葉とリンゴ畑を窓外に見ながら、岩木山のふもとまでよく車を走らせた。ベンチに腰を下ろし絶景に身を委ね爽やかな風に吹かれながら食べるお弁当の味は格別だった。

また少し遠いが十和田湖を水源とする奥入瀬渓流の自然が素晴らしく毎年一度は行っていた。渓流沿いのブナ、ウルシ、カエデなど黄色や赤、橙色などのさまざまに染まる樹木の紅葉が豊富な水量,水勢の渓流に見事に調和してこれ以上の自然美は他にないと思った。

青森県弘前市で暮らした約10年の間、秋になると関東の友人たちが代わる代わる来県して主人が車で案内し喜ばれた。

今わたくしたちは関東平野の真っ只中茨城県に住んでいる。ここにも観光名所はいろいろあるが主人も高齢になり運転免許を返納したので出かけられない。

二人とも足腰も弱くなり種々の交通機関を利用して遠方まで行く気力も薄れている。

出かけられなくなった今は、自分の身の回りにある小さな秋を愛おしみ楽しんでいる。

黄金色に色付いた稲穂が重そうに頭を下げている田園風景を見て実りの秋を肌で感じる。 取り入れまでの農家の人たちのご苦労を思い自然に感謝の気持ちが沸いてくる。

見上げると抜けるような青空に箒ではいたような筋雲が浮かんでいる。また鱗雲、鰯雲などが真っ青な海に集った魚の大群のように見える時もある。じっと見つめているとそこが別世界のように思えてくる。

スーパーマーケットに行くと秋の果物が次々並ぶ。もも,梨,ぶどう、柿、無花果などなど、わたしは果物が大好きなので買い物に行くとまず果物コーナーにいき今日はなにを買おうかあれこれ考えるのが楽しい。

キノコ類も豊富に出回り、鍋物、炊き込みご飯などメニューを考えると心があったかくなる。

まだまだこれから中秋、晩秋と深まりゆく季節の中で小さな秋を見つけ自分に引き寄せ想像を膨らませて楽しんで過ごしたいと思っている。

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この記事を書いた人

84歳のおばあちゃんです。
毎日楽しく過ごしてます。
日々感じた事や過去の事を、つれづれと気の向くままに書いてます。
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