84歳の誕生日間近のある日、息子が多忙の中ケーキを手に寄ってくれた。箱を開けると見るからにおいしそうなケーキが並んでいる。
予期していなっかたので私は嬉しくて弾んだ声で礼をいい、すぐにコーヒーを沸かし夫と息子と3人でいただいた。息子を交えて食べるケーキの味は格別だった。息子は連日忙しく疲れている様子だった。そんな中こうして気遣ってくれたことが嬉しかった。
際息子が「包丁使う?」といって少し大きな箱をテーブルに置いた。開けると上品な光沢のステンレス製万能包丁と、先端が細くなっている牛刀包丁、ペティナイフの三本が入っていた。
刃を手にあてると今にも切れてしまいそうな鋭利な感触だった。
夫とわたしが家の包丁は【研いでも切れない】とよく言っていたのでプレゼントしてくれたのだ。
翌朝もらった包丁を使ってみて、その切れ味に驚いた。
今、春キャベツがみずみずしく柔らかいので千切りキャベツにして料理に添えると、若葉色のグリーンが料理とマッチして見栄えがよく味も美味しさを増す。健康にも良いのでわたしはこの時期千切りキャベツをたくさん作るが今朝は細くきれいに切れてまるでとんかつ屋さんででるキャベツのようだった。
またトマトの切り口のきれいさにも小さな感動を覚えた。鶏肉の皮も難なく切れる。びっくりしたのはスーパーに掘りたての筍が出ていたので、買い茹でるため先のほうを皮ごと斜めに切り落とすのだが、いとも簡単にスパッと切れた。実は少し前にも筍を買って家の包丁で切った時は私の力では歯がたたず夫に大変な思いをして切ってもらった。
切れる包丁を使っての料理がこんなにウキウキした気持ちになるとは思わなかった。冷蔵庫にある材料でもう一品作ろうという気持ちにもなる。
この包丁は出来ないながら少しでも美味しい料理を作りたいと思っているわたしの力強い味方になってくれそうだ。
わたしは台所に立って包丁を手にするたびにむすこの気持ちを有難く思いほのぼのとする。
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